昔から日本人選手は早熟といった感じがします。海外だともっと荒削りというか、どちらかと言えば
「海外の選手は18歳以降から急速に伸びるイメージ」
があります。(シフリンは別格)
ただ、チルドレンレースだと体の大きさもまったく違うので、欧米人は技術的にもフィジカル的にも強い印象を受けますが、必ずしもそうではないことをヒルシャーの滑りから感じます。
この記事の目次
2014−2015シーズン前のヒルシャーの陸上トレーニング戦略
ヒルシャーはどちらかと言えばワールドカップでは小柄な選手の方になります。そのため、2014−2015シーズンに入る前に筋肉の量を増やし、体重も増加してパワーを上げる選択をしたわけですが、これが結果的にリゲティをもGSで上回り、ワールドカップ史上最高の4シーズン連続総合優勝を勝ち取ったと言えるでしょう。(逆にリゲティは無駄に筋肉を付けず、しなやかな体という印象を受けます。昔のMr.GSフォン・グリュニーゲンのような体型に近いかも。)
スキーは落下スポーツでもありますから、体重は大きなハンデとなります。かといって、昔いたアメリカのダウンヒラー、トミー・モーのように体重を増やすため、レース前に朝食を食べすぎて逆にタイムがまったく出なかった(苦笑)という事例もあるので、やはり夏場のトレーニングが重要ということがよくわかります。
日本の選手は綺麗な滑り。教科書のような滑りにも見える
これはあくまでも個人的な感想であって、本人達は明らかに攻めています。ただ、どこか昔に比べ
「綺麗な滑りだな〜」
という印象を最近持っています。
用具の進化もあるのでしょうが、ターン弧が綺麗すぎるイメージがあります。技術選なら評価は高いような気もしますが、アルペンはタイムが全てです。
「技術が下手でも速い方がうまい」
そういう世界です。
雪煙がたたなくても、美しい滑りであっても、
「タイムが出ないのなら意味が無い」
という世界です。
むしろ、ワールドカップで第1シードに行った日本人選手達は、
「途中棄権をまったく気にしない。とにかく攻める」
といった印象です。
なので、
「完走すれば速い」
そういった滑りをしてきたようにも思えます。ラインが直線的なのも共通です。
トリノオリンピックはその1つの集大成でもあり、第1シード1人のワンマンチームではなく、チーム全体が速くなるような戦略は日本チームにあっていたようにも感じます。(チーム自体が強くなると、よりハイレベルな次元で切磋琢磨するので)
ポイント重視戦略はあまり意味が無い
これは自分自身の体験から得たことです。むしろポイントを気にするより
「100番からでも勝てる選手」
になってほしいと思います。
どんな大会でも後ろから捲る選手はいます。30番も50番もあまり変わりません。(SLは違うかもしれませんが)私自身も結果的に70番台から上がりましたし、30番から10位以内に入ったわけではありません。
「50番ゼッケンより後ろでも上位に行く練習をした結果」
だったと思います。ポジションが良ければ、多少荒れても板は縦になり、走ってくれます。コケたらそれまでですが、何回か挑戦すれば完走できると思います。そういった戦略も1つの方法ではないかと思います。(ボディ・ミラーも数年前、SLはほとんど途中棄権という年もありましたし)また、個人的に好きだったのは
「セット替えをしない練習」
でした。
これを繰り返してやると、掘れたバーンに対し恐怖心が無くなりますし、どこまで攻めて良いのかがよく理解できます。
ということで、興味のある人は14歳のヒルシャーの滑り見てみてください。
14歳と16歳の頃のマルセル・ヒルシャーの滑りを動画で比較
ゼッケンに注目してください。14歳の時SLは148番、GSは123番です。
*14歳の動画はこちら
*16歳の動画はこちら(急激に滑り変わってますね)
P.S.なお、私の考えが時に役に立たないことがあります。ポイントを完全否定しているわけではないので^^;ポイント取れるレースがあるのであれば、そちらが重要です。「どんな状況でも上位にいけるようにしておきましょう」という意味で捉えてください。
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