これは個人的にも前々から気になっていたのですが、R35になってからというか、テッドリゲティがこのルールにいち早く順応するためのトレーニングを取り入れたことは当時何かの動画で見たのですが、スキージャーナル2月号には
「丸い弧・つの字ターン弧」
について大きく取り上げ、このアルペンスキーワールドカップの世界基準の流れが、日本の技術選にも今シーズン影響が出るだろうとも書かれています。(技術選のほうでは佐藤栄一選手がC字からS字ターンへということを解説しています。)
今日はこの話題についてちょっと触れてみたいと思います。
リゲティ・ヒルシャー・ライヒの滑りを動画で比較してみる
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ここでは丸い弧の代名詞「ベンジャミン・ライヒ」とつの字ターンのリゲティとヒルシャーの3人をちょっと動画で比較してみたいと思います。
2014セルデンのトップ5を比較
これを見ると、丸い弧のライヒは上から入っていくのはわかるんですが、今のポールセットというか、このセットにあまりマッチしていないようにも思います。板を縦のラインに持っていきたいのはわかるのですが、雪煙の上がり方がきついというか、修正するためかエッジングがきつくなっているようにも思います。このポールセットの場合、ヒルシャーの方が明らかに滑らかな滑りであり、ヒルシャーとライヒのターン弧の違いがよくわかる動画ではないかと思います。リゲティは失敗したので下記を参考にしてください。
こちらはリゲティのGS特集。途中スローモーションでなおかつ角度も出てくるので、非常にわかりやすいです。どちらかと言えばヒルシャーの方が遅れて今シーズン開花したという感じを受けますが、リゲティの一人勝ちを防ぐにはターン弧の考え方を変えていく必要があるかもしれません。間違いなくリゲティは「ターン弧の常識」を変えた人物と言えるのではないかと思いますし、ヒルシャーも相当彼の滑りを研究して追い越したのではないかと思います。またこの動画はボディミラーとリゲティのエッジングのタイミングの比較は非常に参考になります。
こちらはヒルシャーの滑りを分析した動画です。今シーズンは彼の年になっていますが、さらに進化している印象があります。
丸い弧を描く時代は終わり?
日本のナショナルチームを始め、日本全体が今世界から遅れ始めています。それは金銭的な問題だけでもないように思います。湯浅直樹選手や皆川賢太郎選手、佐々木明さんが世界のトップクラスに居続けたのは
「エッジングの短さ」
は大きな要因で、このことはライヒも認めています。
日本人は多少リスクを冒さないと世界で通用しないというのが実情なのでしょうが、現在のワールドカップの世界標準になるには、根本的に
「従来からの考えを見直さないといけないかも」
しれません。例えば以下のような考え方です。
・上から巻く
・早めのターン始動
・丸い弧を描く
確かに初心者や中級者はこのようなアドバイスでも良いかもしれませんが、優勝を争うレベルになるのであれば、同じ言葉でもニュアンスが変わっていくような気もします。
ただ、アルペンスキーというのはセットによって滑りを変えていかないといけないスポーツでもありますから、インスペクションでどれだけポールセットを分析できるかが重要になってきます。
技術選でも2015年からS字ターンが多く見られるのでは?と言われていますが、日本全体がこの流れになっていくのかもしれませんね。ターン弧について詳しいことはスキージャーナル2月号を購入して読んでみてください。